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【本】じゃんけんしようよを読んだ

じゃんけんしようよ

じゃんけんしようよ

相変わらず、KDPの十千しゃなおさんの小説をちょいちょい読んでます。
今回のじゃんけんしようよは、実は文庫本二冊くらいの結構な長編だったので、
まとまった時間が取れたら読もうと思いながら数年積んでいました。
やっと一通り読み終わったので感想を書いているんですけど、
よくよく見ると続きとか関連書籍があと3冊位あるんですよね。
またゆっくり読んでいこうと思います。
さて、以下感想です。

じゃんけんなのに、スポ根?

正直、じゃんけんしようよというタイトルで何が描かれているのか、
読む前はあんまり想像できてなかったです。
読みはじめて見て驚いたのが、じゃんけんが普通にスポーツだったことです。
じゃんけんの大会が夏の甲子園のような扱いであったり、じゃんけんの大会で負傷者が出たり、
部活動でサンドバッグを殴っていたり…
一般的に想像される「じゃんけん」とはだいぶずれた世界がそこに広がっていました。
でも、途中にはじゃんけんならではの展開もあり、そうでないものもあり…
読み進めるうちに何故かじゃんけんは普通に競技だと思えてしまうんですよね。
そんなパワーがありました。

長編・王道でも変わらない十千しゃなおらしさ

これは、こんな風に書くのも失礼かなと思うんですけど、
十千さんの体育会系のスポ根、ライバルの登場、成長物語、
みたいな王道の話を読んだことがなかったのでどうなるのかなと思ってました。
でもそんな不安を吹き飛ばすような、相変わらずテンポの良い会話と展開、
読みやすい文体でサクサク読み進められました。
ちょいちょいある誤字脱字と、登場人物の難読さも含めて、ご愛嬌というか、安心感がありました。
ただ、変わらない読みやすさながら、いつもの短編的な作品と違って、
しっかりとしたお話が描かれていた印象です。

設定の消化不良感

前二点で良かった点を書いたので、一つだけ気になった点を。
この小説は本来数冊のシリーズで描かれるはずだった内容をまとめているという経緯があるようです。
そのためか、しっかりとしたキャラを持ちながらもあまり描写されずに流されてしまうキャラクターや、
比較的大きな展開だと個人的に思っていた場面であっさり地の文で物語が進んでしまうなど、
駆け足の部分があるのは否めません。
とはいえ、しっかりと描くべき部分は山場として描かれているのでそう不満もないのですが…

というわけで、一風変わった題材の作品でしたが、とてもおもしろかったです。
値段も安いので、もし興味があれば読んでみてください。